第46回 ライター岩田のトラキャンライフ
ライター岩田のトラキャンライフ
第46回 トラキャンで安全にドライブするための必須ポイント!
走行前のチェックポイント4選!
トラキャンは、ピックアップトラックの荷台に重くて高さのある居住用シェルを積載した特殊なキャンピングカー。シェル積載時に確認を怠ると、快適性を損なうだけではなく事故を引き起こしてしまう危険もあります。とくに重要なポイントを4つ挙げますので、トラキャンオーナーは走行前に必ずチェックすることを習慣づけてください。
エアサス
エアサスは、トラキャンの必須パーツ! エアサスの空気圧が足りないとフラフラとした不安定な挙動になるので、シェルを積載した際は必ず適正な空気圧に調整しましょう。ハイラックストラキャンの一般的な空気圧は、4.5~5.0kPa程度。エアサスの空気は時間とともに自然漏洩し、気温の低下に比例して空気圧も下がるので、筆者はバイク用のTPMSセンサーをエアバルブに装着して、スマホでエアサスの空気圧を常時モニタリングしています。
タイヤ空気圧
ハイラックスの純正タイヤは、「265/65R17 112S」。空気圧240kPaで、最大負荷能力1120kgを発揮します。自動車メーカーの指定空気圧(定積載時)はF:230kPa/R:250kPaですが、トラキャンは高さと重量があるシェルを積載する構造上、F:250kPa/R:300kPaがデフォルト(ミスティック推奨値)となります。筆者の場合、シェルを脱着するたびに調整するのが面倒なので、シェルを降ろして車両単体で走るときも常にこの空気圧です。乗り心地を考慮して車両単体時に空気圧を低め(軽積載時の純正指定空気圧F&R:200kPa)にしている場合、シェルを積載したら必ず空気圧を適正値に調整すること。純正とサイズの異なるタイヤを装着している車両は、空気圧と負荷能力の数値が純正と異なるので、タイヤショップなどに確認して「純正以上の負荷能力を発揮できる空気圧」をキープするようにしましょう!
リア灯火
リアの灯火類(ブレーキランプ・ウインカー・バックランプ)の走行前確認は、トラキャンオーナーの義務です! チェック方法は、1人が運転席に乗り込んでウインカー、ブレーキ、バックの操作を行い、もう1人がリア灯火の点灯状況を確認するだけ。1人の場合は、リア灯火の後方に鏡や白い板などを置いてバックカメラで光の反射を確認するなどの工夫が必要になります。灯火が正常に点灯しないと、大きな事故を誘発する危険がありますので、走行前に必ず点灯チェックを行うことを心がけましょう!
ターンバックル
シェルの四隅を固定するターンバックルは、トラキャンの命綱。万が一走行時にシェルが転落したら、大惨事になります。荷物が安全に固定されているかの確認を怠らないのが、重量物を積載するドライバーの責務。筆者の場合、固定し忘れや緩みなどのトラブルがないように、出発前に車両の周りをグルッと回りながら4か所のターンバックルを指さし確認しています。自宅を出るときはもちろんですが、旅先で出発する前も毎回確認するクセを付けましょう!
スピードの出し過ぎに注意!
現行ハイラックスのトラキャンは、キャブコンと比べて走行性能が高いのは間違いありません。以前乗っていたハイエースベースのキャブコンは、足回りフルチューンでかなり安定して走れるクルマでしたが、現在乗っているトラキャンの走行安定性はそれと同等かそれ以上。ロングホイールベース・ワイドトレッド・大型タイヤの相乗効果で、高速100km/h走行時にステアリングから手を放しても安定してまっすぐ進んでいきます。一般的なキャブコンの巡航速度+20km/hでも、まったく不安なく走行できるでしょう。
しかし、いくら走行安定性が高いからといって油断は禁物! トラキャンは、荷台に大きくて重量のあるシェルを積載したトラックであることを忘れてはいけません。重心が高いので、高速走行時に何らかの理由で急ハンドルを切れば、普通車よりも簡単に横転してしまう可能性があります。急ハンドル時の横転リスクは、キャブコンもトラキャンも同様。むしろ、荷台に重量物を積載する構造上、トラキャンの重心の高さは低フロア構造のハイエースキャブコン以上です。
高速道路では、予期せぬトラブルに見舞われることもあります。前を走っているクルマが後方確認をせずに急な車線変更をしてきたり、事故などで先行車が急ブレーキをかけたり、道路上に障害物が落ちていたり、突然タイヤがバーストしたり……。以前筆者が高速道路を走行していた時、前方からこぶし大の石が転がりながら飛んできて、フロントグリルを破損したことがありました。飛んでくる石を避けようとしてとっさに急ハンドルを切りましたが、ボディがバランスを崩して大きく傾き、横転こそしなかったもののかなり怖い思いをしました。この時は安心して走れる速度で巡行していたので大事には至りませんでしたが、もっとスピードが出ていたらどうなっていたかわかりません。
どんなクルマでも、アクセルを踏めばスピードは出ます。ハイラックスベースのトラキャンなら、追い越し車線で一般車をリードして走ることも難しくないでしょう。しかし、大切なのは、それが「万が一の事態に遭遇しても安心して対応できるスピードか」ということ。いくら最高のキャンピングカーを手に入れても、自分や大切な家族を危険にさらしてしまっては、まったく意味がありません。トラキャンで高速道路を走行する際は、クルマの性能を過信せず、控えめな速度でゆったりとした運転を心がけましょう。
キャンピングカーライフ研究家/ライター 岩田一成
バンコン、キャブコンを乗り継ぎ、現在の愛車はスペシャル仕様のJ-CABIN HNを載せたハイラックストラキャン。
累積1000泊以上のキャンプ・クルマ旅の経験と、17年以上のキャンピングカー取材経験をベースに、雑誌、新聞、書籍、WEB、テレビなど様々な形でキャンピングカーの魅力を発信中!